所作(型と舞)

能は型(演技等の様式、パターン)によって構成されています。所作、謡、囃子、全てに沢山の種類の型があります。

しかしここでいう型は、いわゆる舞や所作の構成要素としての型です。
これらの型の成立の経緯についてははっきりしていないですが、梅若猶彦さんは型の出現を江戸期、型が安定的に継承されるようになったのは昭和期ではないかと推測しています。

型が出現した理由として梅若さんは、身体動作に名前を付けることで学習が効率的になるということを挙げています。それは、確かにそうかもしれないですね。

また梅若さんは、現代の能においてはこれらの型が必要以上に重視され、一種の信仰の対象のようになっていることの弊害も指摘していて、世阿弥の著述からは型への信仰は窺えないこと、重要なのは役者が自分の内面と身体の関係を自由にコントロールできる能力を身に付けることで、型の学習のみではそれは不可能だという事を指摘しています。難しいですね・・・自分をコントロールするのはなかなか・・・。

幽玄その2

「妙」については世阿弥もその出現の原理や内容を完全に説明しきれていなくて、「形無き姿」「無心」といった比喩によって説明を試し、またこの美的性質は子方の演技にても稀に感得されることがあると指摘しています。

梅若は「妙」と「幽玄」を比較し、「妙」はそれが現れた時には演技者と観客のいずれにも作用するものであるのに対して、「幽玄」はあくまでも演技者が観客に対して意図的に表現しようとする美的性質に留まるとしています。とても興味深い内容ですね。お勉強になります。

幽玄

能が表現する美的性質として広く知られた概念に「幽玄」があります。

能を大成した世阿弥の著述においても「幽玄」が意味するところは必ずしも一定していないですが、例えば『花鏡』においては、同時代(室町初期)の公家の挙措やたたずまいのように「ただ美しく柔和なる体」を「幽玄」としています。
これは、人それぞれだと思いますけどね^^

ただし、梅若猶彦は世阿弥の能論における最も重要な美的概念が「幽玄」ではなく「妙」であることを指摘していて、「幽玄」が能の美的側面における支配原理というわけではないそうです。
ちょっと難しいお話なんです・・(><)

玄人による能

玄人による能は、入念なリハーサルを行わない上に一度きりの公演であるという点も独特である。通常の演劇では事前にリハーサルを重ね、場合によってはゲネプロという形で全て本番と同じ舞台・衣装を用いるが、能では事前に出演者が勢揃いする「申し合わせ」は原則一回であり、しかも面や装束は使用しない。これについて前出の八世観世銕之丞は、能は本来、全て即興で演じられるものであり、出演者同士がお互いのことを解りすぎていることは、能においてはデメリットになると論じている。

梅若猶彦

梅若猶彦もこのような死者による語りの構造を重視し、能はこのような構造を持つことで、能独自の美の世界の構築を可能としていると指摘している。梅若はその例として、「実盛」のシテである斉藤実盛の亡霊がワキの夢の中に登場し、己の死に様を語りながら、己の生首を洗うという場面を挙げている。この場面ではシテ演じる実盛の亡霊には首が付いているのであるが、同時に実盛の亡霊は切り落とされた自分の生首を手に持っているのである。このような不条理な演出が可能となっている理由として梅若は、能が一般に「ワキの夢の中でシテが夢を見ている」という難解な構造を持っていることを指摘し、「死者による語り」という夢幻能の基本構造が、こうした他に例を見ない物語世界の構築を実現していると論じている。

死者の世界からものを見る

これに対して夢幻能は「死者」が中心となった能である。八世観世銕之丞は夢幻能の大きな特徴として「死者の世界からものを見る」という根本的な構造を指摘している。すなわち、多くの場合、亡霊や神仙、鬼といった超自然的な存在が主役(シテ)であり、常に生身の人間である脇役(ワキ)が彼らの話を聞き出すという構造を持っているのである。これについて銕之丞は、観阿弥・世阿弥・金春禅竹らによって猿楽が集大成された室町期は戦乱の時代であり、死が人々にとって極めて身近なものであったことを、こうした構造の理由に挙げている。

構成方法

能をシテの役柄によって分類することは下記の上演形式の項目で述べるが、構成方法により「現在能」と「夢幻能」に二分することも多い。

現在能とは、現在進行しているように演じられるドラマのような能(劇能)である。例えば「安宅」は、歌舞伎の勧進帳の元になった曲であるが、シテ弁慶を中心に義経主従が奥州へ落ち延びようとしているところに、ワキ富樫(関守)がそれを疑い、弁慶の機転によって難関を脱出する様子を、時間の経過とともにストーリーが展開されていく。

「三役」

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能は、俳優(「シテ」)の歌舞を中心に、伴奏である地謡(じうたい)や囃子(はやし)などを伴って構成された音楽劇・仮面劇である。舞と謡を担当し、実際に演技を行うのがシテ方、ワキ方および狂言方であり、伴奏音楽を担当するのが囃子方(笛方、小鼓方、大鼓方、太鼓方)である。

能は、シテ方が中心となって行われるため、ワキ方、囃子方、狂言方を総称して「三役」と呼ぶ。

重要無形文化財

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能(のう)は、鎌倉時代後期から室町時代初期に完成を見た、日本の舞台芸術の一種である「能楽」の一分野である。その起源は議論の分かれるところであり正確な事はわかっていない。現在の能は中国伝来の舞、日本古来の田楽、延年などといった様々な芸能や行事の影響を受けて成立したものであると考えられている。現在は日本における代表的な伝統芸能として遇され、歌舞伎に並んで国際的に高い知名度を誇る。重要無形文化財。