ヨークシャー・プディング 3
肉の味と匂いをしみこませたプディングが作られたのはヨークシャー地方の農民のつつましい食生活がもとになっています。
つまり、こ・ついう肉料理まがいのプディングを、ロースト・ビーフの前に食べることによって、肉の消費を節約するという目的もあったのです。
歴史的にはこういう由来があるのですが、今はロースト・ビーフと一緒に食べるのが普通です。
しかも、ロンドンのシンプソンのような高級レストランのロースト・ビーフのように、ホース・ラディッシュ(わさび大根)とともに欠かせないものになっているのは考えてみれば面白い組み合わせです。
こういう食べ方をするのですから、ヨークシャー・プディングには砂糖を加えないことは当然ですし、また、肉汁がしみこむことによって適当に軟らかくなるので、べーキング・パウダーなどの膨張剤は使いません。
膨張剤でふくれた組織に肉汁がしみこむと軟らかくなりすぎて、崩れてしまう危険性があるからです。
イギリスの料理といえば、ビフテキとロースト・ビーフしか認めない人が多いようですが、各種のプディング類とか、ステーキ・アンド・キドニー・パイのようなパイ類の中には、イギリスでなくては食べられないような「味覚」があることを知っていただきたいものです。